薬剤師

薬局の薬剤師って何やってんの?!〜Part.4薬の説明・お渡しをする編〜

※現役エリアマネージャーの薬局薬剤師が記載していますので、信頼してお読みください

この記事を読めば、薬局薬剤師が何をしているのかが分かります。



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みなさん、今まで何度体調を崩しましたか?

そんな時に誰しも一度は病院に行き、その後薬局に薬を貰いに行った経験があるのではないでしょうか?

そこで、こう思った経験はありませんか?

「この人(薬剤師)って・・・薬渡してるだけじゃない・・・?」



そう思うのも無理はありません。

だって薬局薬剤師の仕事って、地味(目立たない)だから!!

だけどね、縁の下の力持ちとして見えないところで陰ながらしっかりと仕事をしているんです。

今日はそんな薬局薬剤師の方々に日の目を見てもらいたいと思います。



薬局薬剤師の主な仕事内容



薬局薬剤師の仕事内容

4.薬の説明・お渡しをする

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いよいよこのテーマの最後のブロックとなりました。

これが、皆さんにとっての「薬剤師といえば」のイメージ第一位なのではないでしょうか。

普段皆さんが患者様として説明を受けていると思いますが

今回はその裏側(薬剤師目線)をご紹介して、どのような事を考え薬剤師が皆さんの健康に繋げていこうと考えているかをご紹介していこうと思います。

薬剤師が患者様にお薬をお渡しする時に
お話(薬の説明や健康状態の確認など)を行なっていると思いますが、
その事を専門用語で服薬指導と言いますよ〜!

Part1からPart3までの過程で、処方箋を基に「この薬を出して問題無いか」や「正しい薬を正しい量調剤する」という事をおこなってきましたね。

最後は患者様との会話を基に「この薬を出して問題無いか」を判断して、問題無いと判断した上で患者様にお薬をお渡しします。

最後まで責任持ってお薬をお渡しするために
もう一踏ん張り!!

患者様と会話をする前にまずは前回の薬歴を確認していきます。

薬歴とは、前回までに説明した内容、初来局された時に書いていただいたアンケート内容、これまでに聞き取りした既往歴・副作用・アレルギーの情報などを見れるようになっているデータのことです。病院で言うところの”カルテ”のようなものですね。
現在の主流はコンピューター上での管理となっており、一部の店舗では紙媒体で管理しているところもあります。
薬局に行った時にしきりにパソコンを見ていたり、キーボードをバシバシ打って何かを入力していたら、その大半が薬歴の管理をしています。

基本的には薬歴を確認して、頭の中で「今回はこんな流れでこんなことを聞こう!」とシミュレーションをした後に患者様のお名前を呼ぶという流れが一般的です。

シミュレーションをしてそれ通りになった事ってほぼ無いです(笑)

そうなんですよね〜。

薬剤師がこれは聞いておきたいとか、色々話してほしいと思っても

患者様の中には急いでおられたり、話したくないという方がいらっしゃいます。

こればっかりは仕方ないので、そんな時に薬剤師は

「はっ!この人は多分急いでいる!!」とか「あぁ、話したくなさそう・・・!!」と空気を読みつつ最低限必要な事だけを伝えることが多いです。

おめでとうございます。薬剤師になると空気を読めるようになります。

服薬指導の時に色々話してくれると凄く嬉しいんです。
それは薬の相談でもいいし、世間話でも良いんです。
薬剤師は心を開いてもらいたいと思ってるんです。(もちろん心を開いてもらう努力は欠かしませんよ!)

冗談はさておいて

薬剤師が服薬指導の際に患者様に説明・確認しておきたいと思っていることを以下に列挙します。

普段「薬剤師の服薬指導なんて必要ない。薬だけ早よ渡さんかい。」と話を聞けてない方は、これを機に耳を傾けてみると自分にとって必要な情報(しかも根拠に基づいた正しい情報)を知れるかも知れませんよ♪(いくら聞いても料金は変わらずに!!)

  1. 薬をきちんと飲めているか
  2. 薬を飲んでいつもと違う症状が出ていないか(副作用の確認)
  3. 検査数値の確認(効果・副作用の確認)
  4. サプリメントや健康食品などを摂っていないか(飲み合わせの確認)
  5. 気になっている事・分からない事はないか

ざっくりとこんな感じですね。

では、それぞれ解説していきます。

薬をきちんと飲めているか

わざわざ何でこんな事を聞いてくるんだと思ったことありませんか?

「飲めて無かったら何なんだ。」と突っぱねてしまいそうな気持ちもよく分かります。

薬剤師がこれをお聞きする理由は

  • 「どれだけ飲み忘れ(飲んでいない)があるかを把握した上で、どのくらいの効果が現れているのか」を把握するため
  • 飲めるように工夫する必要があるかを判断するため

例えば、血圧を下げる薬を飲んでいないから血圧が上がったとしましょう。

すると医師は「薬を飲んでるのに何で血圧が下がらないんだろう。薬を増量するか。」という考えに至る可能性があるわけです。

もしそこで医師から「血圧が高いと脳梗塞や心筋梗塞になるかも知れないから、薬を増やしとくね。」と言われたら、

怖くなったあなたはきっと薬をきちんと飲み始めるでしょう。

すると急に過量の血圧を下げる薬を飲んだせいで血圧が下がり、転倒または車の運転中に意識を失い事故をする。。。

なんてケースも考えられます。

これはほんの一例ですが、薬ってきちんと飲んでおかないと、また、きちんとどのくらい飲んでいるかを医師または薬剤師に伝えておかないと

大損をする危険性があります。薬を侮る事勿れです。

別に怒ったりしないから、服薬状況は必ず医師や薬剤師に伝えてね!

また、もし飲み忘れが多いという方には相談いただければ飲み忘れを防ぐ方法を一緒に考えます。

その一例としてお薬カレンダーや一包化、服薬BOX、服薬アラームなどがあり

色々試してみると自分いにピッタリな方法が見つかると思います。

是非お気軽に薬剤師にご相談ください♪

薬を飲んでいつもと違う症状が出ていないか(副作用の確認)

薬局で薬を貰う時に「何か変わったことは無いですか?」と聞かれることがよくあるかと思います。

すると一部の方からは「変わった事がないから悪いんでしょう。だから病院に来てるんでしょう。」とか言われることがあります。

「上手くこの質問の本質を伝えれてないんだなぁ。」と反省する事があります。

薬剤師が言う「何か変わった事は無いですか?」という質問の意図は

「いつもと違う症状が出たりして無いですか?」つまり、「症状によっては副作用も考えられるので、何か症状が出てたら教えてください」と言う意図でお聞きしてる事が多いです。

薬剤師は薬のプロなので症状を聞けば「この症状はこの薬の副作用の可能性がある!」と推測する事が出来ます。

必要があれば医師に連絡を取り、その薬の必要性について再度検討いただくことも出来ます。

なので、この質問を受けた際には素直にお答えいただけるとあなたの為になります。

ほんとに何も変わり無かったら、
「変わりないです。」って言っていただいて結構ですよ♪

検査数値の確認(効果・副作用の確認)

なぜ医師は血液検査をするか。それは血液検査結果を見ると、目には見えない体の中の色んな事が分かるからです。

その一例として、薬の効果や副作用の有無を判断するのに役立ちます。

有名な例で言えばワーファリンがあります。

あれは、PT-INRという血液検査結果を元に処方量が決まります。

貧血で言えばHb(ヘモグロビン)の量や、糖尿病で言えばHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)なども薬の効果や病気の状態を見るのに役立ちます。

実は薬剤師って血圧だけでなく、血液検査の項目の見方や、その基準値なども勉強しているんです。(※薬剤師国家試験の試験範囲に入っています)

病院で説明受けたけどよく分からなかった項目があれば何でも聞いてくださいね♪

サプリメントや健康食品などを摂っていないか(飲み合わせの確認)

サプリメントや健康食品ってテレビCMや新聞、SNSの広告などで情報を得る方が多いと思いますが、

あれって物凄く魅力的に思えますよね。

広告が本当に上手だなと薬剤師の目線から見てもとても勉強になります。

一見凄く魅力的なサプリメントや健康食品ですが、

成分によっては薬の効果を増減してしまうので注意が必要です。

薬の効果が増減って聞くと「”減”はダメそうだけど、”増”はしっかり効くから良いじゃん。」とおっしゃる方がいらっしゃいますが
実は”増”も良くないんです。
なぜかというと、薬は効きすぎると副作用が出るからです。
医師は”効かな過ぎず、効き過ぎず”の絶妙な量を処方されているんですよ。

現場でよくある、飲み合わせの悪い例としては

貧血気味なので鉄分のサプリメントを飲んでいる方に、胃腸炎や膀胱炎でクラビット®︎(レボフロキサシン)という抗生物質が処方されました。

鉄分のサプリメントを飲んでいる事を薬剤師に伝えなかったため、クラビット®︎(レボフロキサシン)との飲み合わせの悪さに気付いてもらえず

クラビット®︎(レボフロキサシン)の効果がガクッと下がり、胃腸炎や膀胱炎が治らず長続きしました。

というケース。

抗生物質の中には鉄やカルシウムなどの金属類と一緒に飲むと効果がガクッと下がってしまう薬があります。

クラビット®︎(レボフロキサシン)はその中の一つで、鉄と一緒に飲んでしまったことで効果がガクッと下がり、菌をやっつけられなかった訳です。

これは健康食品やサプリメント摂取の有無の確認を怠った薬剤師が悪いのですが、

損をするのは患者様であるあなた自身です。

是非とも何か追加で摂取しているものがあれば、「これは大丈夫だろう。」とは思わずに

薬剤師に相談してください。

世の中には膨大な数の薬があり、膨大な数の飲み合わせの悪い成分があります。

それを見つけ出し、的確に避ける提案をする。それが薬剤師です。

薬剤師を信じて、ちょっとした事も相談してくださいね。

ちなみに、今回のケースでは
クラビット®︎(レボフロキサシン)は鉄やカルシウムなどの金属と一緒に摂る場合は
先にクラビット®︎(レボフロキサシン)を服用し、2時間以上空けて金属類を摂るとほとんど影響を受けない。という報告があるので
例えば「朝食後にクラビット®︎(レボフロキサシン)を服用し、昼か夜に鉄分のサプリメントを摂りましょう。」と指導するのが正解の一例だと思います。

気になっている事・分からない事はないか

「気になっている事や分からない事があるけど、聞くタイミング逃したし、まぁいっか。」とモヤモヤしたまま帰っていかれる患者様も少なくないと思います。

そんなモヤモヤを抱えたまま帰らせてしまい、一人で不安にさせないためにも

薬剤師は最後にこの質問をしてあげたいものです。

逆に患者様はこの質問で(究極この質問が無くても)気になることは全て解消して帰っていただきたいと思っています。

聞かれたら、分かることは責任を持って何でもお答えします!
薬剤師は、聞かれたら嬉しい訳だし
患者様は、いくら聞いても値段は変わらないんだから!!

「それでもどうしても直接じゃ聞けない・・・」って時は薬局にお電話ください。

薬剤師は必ずあなたの力になって見せます。

重ね重ねになりますが、薬剤師を信じてください。

4章にも渡ったこのテーマもこれで終わりとなります。

次は番外編を書こうと思っておりますので、そちらもお時間あれば見てください♪

ではっ!

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