薬剤師

薬局の薬剤師って何やってんの?!〜Part.2 処方箋の内容確認編〜

※現役エリアマネージャーの薬局薬剤師が記載していますので、信頼してお読みください

この記事を読めば、薬局薬剤師が何をしているのかが分かります。

みなさん、今まで何度体調を崩しましたか?

そんな時に誰しも一度は病院に行き、その後薬局に薬を貰いに行った経験があるのではないでしょうか?

そこで、こう思った経験はありませんか?

「この人(薬剤師)って・・・薬渡してるだけじゃない・・・?」

そう思うのも無理はありません。

だって薬局薬剤師の仕事って、地味(目立たない)だから!!

だけどね、縁の下の力持ちとして見えないところで陰ながらしっかりと仕事をしているんです。

今日はそんな薬局薬剤師の方々に日の目を見てもらいたいと思います。

薬局薬剤師の仕事内容

2.処方箋の内容を確認する

Part1.にて患者さんから処方箋を受け取り、諸々の確認を済ませした。

ここからお薬をお渡しするまで薬剤師の本領発揮です!

処方箋の内容を確認すると言っても、「書かれている文字が間違ってないか」とか

そんな誰でも出来るような事ではないんです。

以下にどんな事を実際の薬局薬剤師が処方箋を基に確認しているかを挙げていきます。

薬剤師が処方箋を見て確認している事

  • 保険番号、公費がきちんと記載されているか
  • 別の人の処方箋と間違えて持ってきていないか
  • 処方箋の使用期限が過ぎてないか(処方箋を貰った日から4日以内に薬局に渡しているか)
  • 明らかな記載間違いがないか

    上記の事などは事務員さんが行うこともできます。

    以下の3点が薬剤師しか出来ない確認事項の代表例です。
  1. 処方された薬の中で飲み合わせの悪いものが含まれていないか
  2. 処方日数(量)に制限のあるものが、その制限を超えて出ていないか
  3. 「一包化」や「粉砕」指示が医師からあった時に、薬の品質上それをしていいのかの確認

    などが薬剤師にしか出来ない確認作業となっています。

処方箋は貰ってから4日以内に薬局に出さないと薬貰えませんよ!
法律で決まっているので「融通効かせてよ〜」と言われても無理ですよ〜!
「病院も薬局も時間かかるのに、忙しい人はどうすんの・・・?」って方もいらっしゃいますよね。
そんな方に耳寄り情報!!
薬局に「いついつ来ます!」と処方箋だけ出しておけば、4日以上過ぎても薬を受け取れるんです!
薬局で薬が出来上がるのを待つ事も無く、あなたはただ伝えた時間に行くだけ!
これ実は、あなたは”処方箋の期限を気にしなくて良い&薬局で待たなくていい”、”薬局は焦って薬を準備する必要が無い(=ミスが減る)”
ことに繋がるので、双方にメリットがあるんです。
ぜひ、お試しください♪

先ほどの”薬剤師にしか出来ない確認事項”3点の解説

処方された薬の中で飲み合わせの悪いものが含まれていないか

これは薬剤師の代表的な業務としてイメージの湧く方が多いのではないかと思います。

医師が処方をする際、検査や診察をしてその結果から患者個々に適した薬を出すわけです(もちろん患者自身の訴えから薬を追加するケースもあります)が

たまーーに気付かずに同じ種類の薬を出してしまう事や、飲み合わせの悪いものを出してしまう場合があります。

医師も人間ですからミスはします。多忙な業務も相まって、普段はしないミスの見落としなどいわゆる”ヒューマンエラー”というものが発生します。

じゃあ、医師が間違えて(気付かずに)飲み合わせの悪い薬を出してしまった時は大人しくそれを飲まないといけないの・・・?

そんな事は薬剤師が断じて許しません!!

医師が間違えてもダブルチェックでミスに気付けるように、患者さんが飲み合わせの悪い薬を知らずに飲むことの無いように

われわれ薬剤師がいるのです!!!

その為に、薬剤師は皆さんの処方箋1枚1枚を疑いの目を持ちながら見ているわけなのです。

もし、薬剤師が「この処方は間違いかもしれない」と疑いを持った場合は
「その疑いを晴らすまでは患者さんに薬を渡してはならない」という法律があります。
その疑いに気付けなかったり、その疑いに気付きながらも医師に確認せずに患者さんに薬を渡してしまった場合は
薬剤師の責任となり得ます。
ちなみに、疑いを晴らすために医師に確認することを”疑義照会”と言います。

患者さんに間違った薬が渡ら無いようにする”最後の砦”として知識をフル動員させてミスを発見しようとしていますが

患者さんの中には「薬出すのにいつまで待たせんだよ」と怒る方がいらっしゃます。

もちろん、それに関してはお待たせしてしまう薬剤師が悪いと思います。

ただ、怒る前にちょっとでも思い出して欲しい事があります。

それは、あなたの為に、あなたが間違った薬を飲んで健康被害が出てしまわないように、損しないように一生懸命考えを巡らせているんだということ。

その上で、お薬の受け渡しでお待たせしないように、迅速に確認をしている(つもり)のです。

つまり、”絶対にミスできないから慎重にいく”と”お待たせしないように急ぐ”という矛盾を両立させようと日々努力をしているのが薬剤師です。

変に薬剤師を焦らせると、(特に新人の薬剤師にありがちだけど)怒られないようにその場を乗り切ろうとして
確認を疎かにして薬を渡す事につながります。
それは結果として、その対応のために焦らせたあなたが時間を作らなくなってはいけなくなったり、健康被害や不利益が出たりと
お互いにとって後味の悪いものになりますので、出来れば焦らせないことをオススメします。
まぁ、それに関しては焦っちゃった薬剤師が悪いんだけどね。
あと、「待たせちゃってごめんね。」って薬剤師は口に出さなくとも思ってることがほとんどです。
この記事で患者さんも薬剤師も心に1ミリでもゆとりが出来たら良いなと、書きながら思いました(笑)

処方日数(量)に制限のあるものが、その制限を超えて出ていないか

これは一般の方はあまりイメージが湧かないのではないかと思います。

代表的なものに

  • 湿布
  • 向精神薬(気持ちを落ち着かせる薬や眠剤などがこれに当たります)

等がありますが、これらは1回(場合によってはひと月)の処方で出せる数が限られています。

ちなみに湿布は63枚(2022.4.1から70枚→63枚に減りました)

向精神薬は薬の種類によって14日、30日、90日までいけるものが分かれます。

有名なもので言えば、眠剤のハルシオンやマイスリー、アモバンなどは30日までしか出せません。

「なんでこれしかくれないの!?」とおっしゃる方もいらっしゃいますが

これは意地悪ではなく、法律で決まっているからなんです。

目的は”悪いことに使われないように”とか頭の良い方が考えた法律なので、どこの薬局に行っても貰えません。

その数しか出せない医師や薬局、あるいは法律が悪いのではありません。

法律を作らなくてはならなくなった原因=悪いことをした人が悪いんです。

薬剤師もね、もっといっぱい出してあげたい気持ちはやまやまなんだよ〜。

上記のような決まりがあるので”その制限よりも多く出てないか、法律の隙間をかいくぐろうとしてないか”も薬剤師は確認しています。

「一包化」や「粉砕」指示が医師からあった時に、薬の品質上それをしていいのかの確認

一包化ってそもそもどういったものかご存知でしょうか?

この画像のように薬を飲むタイミング毎等にパックすることが「一包化」というものです。

一包化の袋に印字する内容には
「朝食後」のような飲むタイミングだけでなく、
・氏名
・入っている薬の名前
・日付
なども印字できるので、必要な方は薬剤師にお気軽に相談してね〜

では、粉砕とは・・・?

錠剤やカプセルが飲みづらい(飲めない)方に対して、錠剤を粉々にしたり、カプセルの中身を出したりして一包化する作業のことです。

ここで、どのように薬剤師が皆さんのお役に立っているかというと

まずは、一包化や粉砕することで皆さんが飲み忘れなくきちんと飲めるような最善の方法を提案できるということ。

そして、そもそもこれって一包化や粉砕して良いものなのかを判断する事です。

一包化するにはまず包装から一個一個薬を取り出していく必要があります。

薬によっては空気に触れる事で湿気やすいものや、光に弱いものがあります。

そのような薬を一包化する事で期待される効果が発揮出来ないという事に繋がるので

医師からの一包化指示にそういった薬が入っていないかを確認して、きちんと効果が出る飲み方で患者様にお渡ししているのが薬剤師なんです。

ちなみに一包化に不向きな薬に対して、医師から一包化指示がきていたら
疑義照会により一包化から外してもらったり
似たような働きの薬で且つ、一包化に向いている薬に変更してもらったりするよ。
ここは薬剤師の腕の見せ所ですね!

粉砕については、ミキサーみたいなもので薬を粉々にしたり、カプセルから中身を取り出すわけなので

一包化と同じように湿気やすいものや光に弱いものは出来ません。

ただ、粉砕については一包化よりもう一歩深く考えなくてはいけません。

  • 錠剤の形のまま飲むことでゆっくりと溶けるように設定されており、じっくり時間をかけて効くような構造になっているもの
  • 薬の成分がとても苦い、刺激があるなど味の問題を無くすために、錠剤の表面をコーティングしているもの

ざっくりとこういったものは粉砕に不向きのものと言えるので、これも医師から粉砕指示が来ていたら

変更もしくは粉砕から外すように医師に提案しています。

薬剤師は、皆さんの健康のためにも意外と物凄く考えながら仕事しているんです!
その努力を表に出さず、縁の下の力持ちとして当たり前のように行っている薬剤師。
たま〜にでも「いつもありがとう。」と言って貰えると薬剤師のモチベーションにも繋がります。
その結果、より質の高い仕事をしてあなたの健康にアプローチ出来ると思いますので
たまには労いの言葉を掛けていただけると幸いに思います♪

次は「Part3.薬を準備する(調剤)編」です。

良ければ見てください(^^)♪

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