”アルコール依存症”の処方が急に来ても慌てないように!
※現役エリアマネージャーの薬局薬剤師が記載していますので、信頼してお読みください
忙しい人のためにサクッと情報まとめます。
詳しい事は、詳しく書いてある記事を参考にしてくださいね♪
アルコール依存症 の治療薬は4種類 ※2022年7月現在
大きく分けて3つ
- 抗酒薬(ノックビン、シアナマイド)
- 断酒補助薬(レグテクト)
- 飲酒量低減薬(セリンクロ)
に分かれています。
では、それぞれ見ていきましょう!
※以下、添付文書より抜粋
シアナミド(シアナマイド®︎)
【禁忌】
・重篤な心障害のある患者〔本剤の投与により増加するアルコール代謝物アセトアルデヒドが悪影響を及ぼすおそれがある.〕
・重篤な肝障害のある患者〔スリガラス様封入体の発現により悪影響を及ぼす.〕
・重篤な腎障害のある患者〔腎障害を悪化させるおそれがある.〕
・重篤な呼吸器疾患のある患者〔本剤の投与により増加するアルコール代謝物アセトアルデヒドが呼吸機能に抑制的に作用する.〕
・アルコールを含む医薬品(エリキシル剤,薬用酒等)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
【効能・効果】
慢性アルコール中毒及び過飲酒者に対する抗酒療法
【用法・用量】
断酒療法として用いる場合には,シアナミドとして,通常1日50〜200mg(1%溶液として5〜20mL)を1〜2回に分割経口投与する.
本剤を1週間投与した後に通常実施する飲酒試験の場合には,患者の平常の飲酒量の十分の一以下の酒量を飲ませる.飲酒試験の結果発現する症状の程度により,本剤の用量を調整し,維持量を決める.
節酒療法の目的で用いる場合には,飲酒者のそれまでの飲酒量によっても異なるが,酒量を清酒で180mL前後,ビールで600mL前後程度に抑えるには,通常シアナミドとして15〜60mg(1%溶液として1.5〜6mL)を1日1回経口投与する.飲酒抑制効果の持続するものには隔日に投与してもよい
【作用機序】
肝におけるアルデヒド脱水素酵素を阻害する
劇薬かつ冷所保存が必要です。
アルコールを含む食品、化粧品などにも注意が必要ですよ。→急性アルコール中毒(顔面潮紅, 血圧 (エリキシル剤, 下降, 悪心, 頻脈, めま い, 呼吸困難, 視力低下など)になる危険性があるため。
ノックビンと比べて、シアナマイドは服用後すぐに効果が現れます。
ジスルフィラム(ノックビン®︎)
【禁忌】
・重篤な心障害のある患者〔原疾患が悪化するおそれがある.〕
・重篤な肝・腎障害のある患者〔原疾患が悪化するおそれがある.〕
・重篤な呼吸器疾患のある患者〔原疾患が悪化するおそれがある.〕
・アルコールを含む医薬品(エリキシル剤,薬用酒等)・食品(奈良漬等)・化粧品(アフターシェーブローション等)を使用又は摂取中の患者(「相互作用」の項参照)
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
【効能・効果】
慢性アルコール中毒及び過飲酒者に対する抗酒療法
【用法・用量】
ジスルフィラムとして,通常,1日0.1〜0.5gを1〜3回に分割経口投与する.
本剤を1週間投与した後に通常実施する飲酒試験の場合には,患者の平常の飲酒量の1/10以下の酒量を飲ませる.飲酒試験の結果発現する症状の程度により本剤の用量を調整し,維持量を決める.
維持量としては,通常0.1〜0.2gで,毎日続けるか,あるいは1週毎に1週間の休薬期間を設ける.
【作用機序】
1 . 肝臓中のアルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害すること により,飲酒時の血中アセトアルデヒド濃度を上昇させる
2 . アルコール摂取後 5 ~10分で顔面潮紅,熱感,頭痛, 悪心・嘔吐などの急性症状を発現させる
3 . アルコールに対する感受性はジスルフィラム服用後少 なくとも14日間は持続する
劇薬で、保存は室温(なるべく冷所)です。
アルコールを含む食品、化粧品などにも注意が必要ですよ。→急性アルコール中毒(顔面潮紅, 血圧 (エリキシル剤, 下降, 悪心, 頻脈, めま い, 呼吸困難, 視力低下など)になる危険性があるため。
ノックビンは服用してから1〜2週間後に効果が現れるため、効果実感までには少し時間がかかりますが、効果の持続時間も長く、服用中止後2〜4週間ほど効果が持続します。→服薬指導の際は注意が必要ですね。
アカンプロサート(レグテクト®︎)
【禁忌】
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・重度の腎機能障害のある患者
【効能・効果】
アルコール依存症患者における断酒維持の補助
【用法・用量】
通常、成人にはアカンプロサートカルシウムとして666mgを1日3回食後に経口投与する。
【作用機序】
グルタミン酸の受容体のひとつであるNMDA受容体に作用し、興奮性のグルタミン酸作動性神経活動を抑制。その結果として、アルコールへの依存が軽減し、飲酒欲求が抑制されるものと推察される。
食事の影響を受けます。空腹時だと血中濃度が上がり、副作用(下痢や吐き気など)が出やすくなるので“食後”に服用。
腸溶錠なので噛んだり砕いたりしないように指導が必要。
ナルメフェン(セリンクロ®︎)
【禁忌】
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・オピオイド系薬剤(鎮痛、麻酔)を投与中又は投与中止後1週間以内の患者
・オピオイドの依存症又は離脱の急性症状がある患者[オピオイドの離脱症状(又はその悪化)があらわれるおそれがある。]
【効能・効果】
アルコール依存症患者における断酒維持の補助
【用法・用量】
通常、成人にはナルメフェン塩酸塩として1回10mgを飲酒の1〜2時間前に経口投与する。ただし、1日1回までとする。なお、症状により適宜増量することができるが、1日量は20mgを超えないこと。
【作用機序】
ナルメフェンはμオピオイド受容体及びδオピオイド受容体に対しては拮抗薬として、κオピオイド受容体に対しては部分的作動薬として作用することにより飲酒量の低減作用を発揮すると考えられているが、明確な機序は不明である。
劇薬です。服薬せずに飲酒し始めた場合には、気付いた時点で直ちに服薬すること。ただし、飲酒終了後には服薬しないこと。
もう一押し!
抗酒薬や断酒補助薬、飲酒量低減薬はそれぞれ併用することも可能です。
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